アメリカの動物保護施設の現実とは?
犬の保護のために尽力する人々がいる一方で、犬の飼育を放棄するという、犬にとって厳しい現実が毎日繰り返されている。
アメリカ西海岸に住む mukuo が、アメリカで飼育放棄される犬の収容先である、動物保護施設の実態と保護された犬の末路を調べてみました。
動物保護施設のことを、アニマルシェルターと呼んでいるのでこの呼び方で記事を進めます。
目次
アニマルシェルターに送られる犬の数
アメリカにもたくさんの動物保護団体があります。
今回は、The American Society for the Prevention of Cruelty the Animals ( ASPCA)の報告を引用します。
家庭内で飼育される動物を companion animal と呼びます。イヌ・ネコ・トリ・ウサギ・ヤギ・爬虫類など様々な動物が含まれます。
沢山の動物が家庭で飼育されている一方で、毎年650万匹の動物(companion animal)が様々な理由でアニマルシェルターに送られてきます。
その数の約半数の330万匹が犬となります。
送られてくる犬の数は、少しづつですが年々減少しているとのことです。人々の努力の結果が数字になって表れているのでしょう。
この330万匹の中で、無事新しい家族を見つけることができるのは何匹だと思いますか?
160万匹だそうです。
約半数ということになります。
これらの数字をどう受けとめるかは人それそれだと思います。以外とたくさんの犬が助かるではないかと思いますか?
アニマルシェルターに送られた犬の末路
アニマルシェルターに送られた犬の半数が、助かるという言葉を使ってみました。
裏返せば、約半数の330万匹の犬は助からずに、不幸な結末を迎えることになるということです。アニマルシェルターで、新しい家族を見つけることができなかった犬に待っているのは死です。
現在アメリカでは7800万匹の犬が家庭犬として飼育されています。23%の犬がアニマルシェルターから引き取られた犬です。アメリカでもたくさんの犬とその命を守ろうとする人間が厳しい現実と戦っています。
どこの土地であろうが、飼い主の責任の重さは同じです。犬が幸せになる権利を守らなければいけないと思います。
なぜ人は犬を飼育を放棄するのか?
もう少し、アメリカのアニマルシェルターに届けられる犬たちに目を向けてみましょう。
なせ犬を一度引き受けた人間はその犬を放棄するという道を選ぶのでしょうか?
○問題行動に対応できないため。
○犬が凶暴化してしまい家庭で面倒を見ることができない。
○犬のサイズが大きくなりすぎたため。
○犬の持つ健康問題。
この4つが大きな理由だそうです。
もちろん、問題を抱えている飼い主は毎日戦いなのだろうと予測はつきます。しかしながら、予防策は必ずあったはずだと思います。
問題行動も、凶暴化もトレーニングで防ぐことは可能なはずです。
アニマルシェルターに犬を送る理由を正当化させたくはありません。
アニマルシェルターに連れてこられた犬の不幸な運命とは、バーモント州で、犬の保護に力を入れている団体がアニマルシェルターで繰り広げられている犬の運命を詳細に書いてくれています。
知りたくない現実、しかし知らなければいけない現実です。
犬たちに与えられたリミットは?
アメリカではアニマルシェルターに来た犬は、72時間というリミットを与えられます。72時間を過ぎて行き先のない犬には死が待っています。
この犬たちの詳細を読んで私はとても悲しい気持ちになりました。
もしシェルターの収容犬数がたまたま少なかったり、犬が心身共に健康である場合は72時間以上の時間を、与えてもらえることもあります。それでも最大は1週間くらいになってしまうそうです。
シェルターに連れてこられた犬はそこに居る間は決して幸せではないとの事です。運動不足・狭いケージの中で過ごさざるえない・愛情不足となる・知らない犬や人間に囲まれることへの不安など、ストレスに襲われます。
ストレスに過剰に暴露すると、おとなしかった犬も攻撃的になったり、鬱状態になり結局72時間以上の時間を与えられても、幸せであるはずがありません。
アニマルシェルターに来る犬の半数が純血種だそうです。
犬種をきちんと理解せずに、飼い始めることに警告を出しています。新しい飼い主を見つけることが難しい犬にも言及しています。純血種の犬ではピットブル・ロットワイラー・マスタフなど大型犬があがるそうです。本来は飼い主に忠実な犬たちです。
最後を迎えることになる犬たち
英語だと犬の殺処分を “put down” “put sleep”と表現します。
日本語の”殺処分”より少し柔らかい表現になりますが、現場は過酷です。
まず犬は、一匹ずつ綱をつけられ、獣医の所に連れて行かれます。その時、ほとんどの犬が散歩に連れて行ってもらえると思い、嬉しそうに尻尾を振ります。
しかし、ある決まった部屋に連れて行かれたとたんに、犬は怯え始めます。
全ての犬は分かるのです。
そこは、恐怖に満ちた場所で、死の匂いがすることを。技術者に軽く押さえられると暴れ出す犬、静かにしている犬、鳴き出す犬、逃げようと抵抗する犬様々です。
技術者は素早く、血管を見つけそこに致死量の薬物を速やかに注射します。
少しだけ痙攣する犬も居ます。しかしすぐに死は訪れます。そして死体となった犬たちは、まるで薪木が積み重ねられるように冷凍室へ安置されます。
以下はこういった現場で働くあるアメリカ人の言葉です。
これが私の仕事。
その後犬がどうなるかは知りたくない。
私は自分の仕事が嫌い。
こういう現実があることが嫌い。
こういう現実を知らずに、自分の都合だけで犬をアニマルシェルターに連れてくる人が嫌い。
身勝手に犬を扱う人が嫌い。
この記事では、アメリカ西海岸で二匹の犬と暮らす mukuo が犬たちの置かれている、厳しい現実をリサーチしてまとめてみました。
出会うことのできた命。
どういう経路で出会ってもきちんと育てていくと誓いたいものです。
犬のしつけができているだけで、次の飼い主が見つかることがあります。
➤いぬのしつけに関する記事です
飼い主の手でちゃんとした犬のしつけをしましょう!